分娩後脱毛症
女性特有の脱毛症として分娩後に起こる脱毛症があります。子供を出産した後に抜け毛が増え、気が付けば髪の毛が薄くなってしまっていたというものです。産後脱毛症とも呼ばれます。
分娩後脱毛症の原因を知るために、ヘアサイクルを知ることが必要となります。
ヘアサイクルというのは、成長期→退行期→休止期という髪の毛の生え変わりのサイクルのことです。成長期を続けた髪の毛が、成長が止まり抜け落ちる準備を始める退行期の後に、完全に成長が止まってしまう休止期を迎えるというのがヘアサイクルです。
休止期を迎えた髪の毛の毛根部分では新しい髪の毛が生えてきています。この新しい髪の毛に押し出されるようにして休止期の髪の毛は抜けていきます。このように髪の毛は抜けては生えるを繰り返しています。
出産前後ではホルモンバランスが乱れてしまうため、ヘアサイクルが乱れてしまいます。
妊娠後期にはエストロゲンなどの女性ホルモンの量が増加します。女性ホルモンはヘアサイクルの成長期を長く維持する作用があります。そのため、妊娠後期には女性ホルモンの影響で頭髪は成長期を維持するようになります。
出産が終わるとホルモンバランスが元通りに戻ります。女性ホルモンの量が普通に戻ると、成長期を維持してきた髪の毛が一気に休止期に入ってしまいます。そのため、出産後に抜け毛が多くなり髪が薄くなってしまうのです。
妊娠後期は女性ホルモンの量が高い状態にあり、頭髪は成長期を維持する。出産後は女性ホルモンの量が元通りに戻り、頭髪は一気に休止期に入ってしまう。これが分娩後脱毛症が起こってしまう原因です。
分娩後脱毛症が起こってしまっても、通常は約1年程度で自然回復すると言われています。ホルモンバランスが元通りに戻り、ヘアサイクルの乱れもなくなるので、時間の経過とともに薄毛は解消されていきます。ただし、高齢出産などで体力の回復が遅い場合には自然回復しにくいということも起こり得るので注意が必要です。
赤ちゃんが生まれた直後には、昼夜関係なく2時間おきに起きて授乳しなければいけない生活が続くと思います。睡眠時間が思ったように取れなかったり、ストレスを強く感じてしまう場合もあるかもしれません。睡眠不足やストレスは薄毛になってしまう原因でもあります。
薄毛になってしまう原因だからといって、赤ちゃんに授乳することをやめるわけにはいきません。赤ちゃん中心の生活が必要になってきます。産後の脱毛症というのは半年から1年の一時的なものであることが多いので、あまり過度に意識しすぎない生活が必要になってくるのかもしれません。